第5回 合同就学前保育研究会 に参加しました —参加レポート—



 2011年5月28日(土)に市ヶ谷において、午後3時から2時間、本学会藤永保理事長による、「幼保一元化と発達保障―大災害に思う」というテーマで、就学前保育と発達保障を考える講演会が開催されました。本学会と、NPO法人保育・子育てアドバイザー協会、私立幼稚園教育研究会、「エデュ・ケア21」研究会の共催によるもので、幼稚園・保育園関係者が参加し、熱心に耳を傾けておられました。

 1「子育て危機」、2「教育と保育の二分化」、3「被災児の支援」とお話が進みました。子育て危機として、「児童虐待」と「発達障害」の二つの現象の増加を挙げられ、子育て困難状況によるリスクの顕在化という点で、二現象は共通している、幼保一元化は、長期的展望の下での問題解決の要だと述べられました。

 さらに、「こども園」の課題として、どのようなこどもの発達をめざすのかという理念の必要性を述べられ、教育と保育の二分化の解消のために、倉橋惣三の流れを汲む「情操教育」としての普遍性、城戸幡太郎の説いた「生活技能」の修得をめざす地域特殊性の両面を、重視していくべきと説かれました。

 そして、被災児の支援として、長期的視点に立った支援をしたいと考えている、と本学会の姿勢を示され、今回の大震災にあたり、一般的な支援と被災の年齢別による差異をふまえた問題別支援、被災児の直接支援として、養育者を失ったこどもへの愛着の再構成の重要性を挙げられました。

 最後に、大災害に思う地域共同体の根強さ、ここに、子育ての原風景をみる思いだとされ、震災復興に向けて、関東大震災の復興に腐心した後藤新平の " 人の世話をするように、人のお世話にならぬよう " という心構えを示されました。

 講演後、参加者からの、就学前教育での「情操教育」と「生活技能」のバランスをどう考えるのがよいか?という質問には、情操教育では、知的な情操が大切で、対人的知能も育てられていくべきであろう、生活技能においては、こどもが、環境条件と相互的に、効果的にやりとりする機能を育てるのが望ましく、それは、地域によって違うことをふまえるものだと、応えられました。

 深まった質問が相次ぎ、5時の終了が惜しまれる思いで、藤永理事長の講演会が終わりました。