さまざまなフィールドでのwithコロナ

山田 由理子(対外組織活動連携部門)

 私は・・・大学において修士課程の学生指導、カウンセラー役割、地域での教育支援活動等を行っています。その現場での「いま」について記します。WHOから、5歳以下のお子さんにはマスクは無用という発信もあり、なにを信じて取り入れるかが難しい問題であります。「いま」最善とした対応策が、時間が経つと変えなくてはいけないものになりますが、現場を抱える立場からの発信をいたします。

 ◇ 大学において・・・ 所属する大学ではオンライン授業で学生の登校は教員が許可する場合以外、殆どありません。公認心理師となるための養成課程で指導に当たっており、保健医療、教育、福祉、司法・犯罪、産業・労働の5領域での実習が課されています。
 コロナ下において、教育実習も教育現場でなく学内での代替手段が認められるとなりましたように、公認心理師養成の心理実践実習も実習受け入れ至難の状態が続いてきました。そのなかで大学としても、可能な時期に可能な規模で実習再開をと実習先にお願いをし、万全のコロナ対策のもと、ご配慮いただき、病院や学校、福祉施設等で実習が始まりました。修士1年生は入学後、登校の機会なく授業はすべてZoom、提出課題もオンラインという数か月を経て、病院や学校の現場に伺い、実践での学びに喜びを感じているのがわかります。
 大学としても、オンラインでつながり、指導・フォローに努めています。
また、不安や疑問に応えられるよう、学生相談の機能の強化等も図られています。指導する側もZoom等オンラインの授業や指導の講習を受け、質の向上を目指しています。

 ◇ 大学からの情報発信として・・・ お子さん・お孫さんを大学に通わせておられる保護者の方は、大学ごとにホームページや学内のイントラネットで学生への指導やサポートに関する情報が発信されておりますので、ご覧になると安心をされるかと思います。
 オープンキャンパスも開催できずにきましたが、夏休み頃から開催の大学も出てきて、さもなくばオンライン開催となっており、大学ホームページで確認できます。

 ◇ 気になる就職活動はどうなるのか・・・ という思いの保護者の方も多いと思われますが、概ね、オンライン面接です。これは、デメリットばかりでないと感じます。
 企業説明会や就職フェアが行われ、エントリーシートを100社出す、そして、毎日会社訪問と面接という就職活動を大学3年から行うというのが常態化してきました。
 これは、コロナ下で激変しました。受付開始時間にPC前で準備しても企業説明会の申込みが「秒」で埋まり、機会を逸する無念もなくなりましたし、地方から東京に交通費・宿泊費をかけて往復する必要もありません。猛暑のなかスーツで汗をかいて企業から企業に渡り、面接時間が重なってどちらを選ぶかという苦渋の判断もしないでよく、なにより、オンライン面談では、圧迫面接もできないでしょうし(録画される可能性もあり企業イメージを損ねますね)、苦手な学生の多いグループディスカッションも無く、自信満々の学生に圧倒されて話せず終わることもいでしょう。
 学生の就職活動のサポートも長くしてきましたが、「オンライン面接は得意です、緊張せず言いたいことが言える」というデジタルネイティブ世代が出現しています。オンライン面接は楽しい、とすら言います。
 ですので、保護者の方でお子さんが就職活動中でいらしたら、ご自宅のインターネット環境を整えられ、オンライン面接の練習の相手になってさしあげるとよいと思います。
 部屋が片付かないという場合、背景も自由に選択できます。

 ◇ 学校現場において・・・ 小学校や中学校でスクールカウンセラーをしており、小学校でのコーディネーター役割にも長くあります。
刻々と変化する新型コロナウィルスへの学校の対応のご苦労は本当に頭の下がる思いです。卒業式・入学式、修学旅行、移動教室、運動会など学校行事が中止となり、残念ではありますが、代替となる教育活動が考えられています。
 休校となってからのオンライン授業、オンライン上での課題の提示、分散登校を経て学校再開とフェーズごとに、学校は対応に工夫を凝らされています。
休校中、担当校では、希望されるご家庭の低学年児童を学校で預かっていました。
 また、別の学校では、学校再開後、小学校1年生が例年のように6年生がお世話をして学校生活を習うという異学年交流ができないかわりに、学校支援本部から学校生活支援ボランティアを出し、登下校・給食・トイレ等、小学校生活に慣れるための支援を1学期間行いました。学校ごとにこうしたきめ細やかな支援は行われていると思います。
 給食の配膳にも細かい配慮がなされ、授業が終わると毎日、担任教諭が消毒セットを持って、教室の消毒を行っています。
 また、児童・生徒の現状の把握を行い、支援につなげるため、こころとからだのようすについて聞くアンケートを実施し、心身の状態と生活リズムについて聞いて、それをもとに、スクールカウンセラーが不安や疑問があるか個人面談を行い、サポートにつないでいます。こうした取り組みを、それぞれの学校で行っておられると思います。
 休校中は夜ふかしとなり運動不足になったので、運動したいという声があったり、テレワークで父親が在宅なので、話ができてよかったという声、注意をされることが多く気まずかったという声もありました。
 登校開始となると、休校期間中、外出も控えた自粛生活でありましたのでどうしても運動不足となって身体感覚も鈍り、体育の授業でけがをしてしまうという事例も見受けます。
 都立高校チャレンジスクール(不登校経験者を多く受け入れる高校)の心理支援授業で、1年生の4月、1クラスに、松葉杖の生徒が3人という場面に遭遇したことがあります。通学が叶って久々の体育の授業に臨み、ふとした動きがねん挫や骨折に至るようでした。

 ◇ ご不安やお困りのことがあれば・・・ スクールカウンセラーは保護者のご相談を受けますので、困っておられること、これはどうなっているの? と思われることがありましたら、お子さんの学校のSC制度を活用ください。

 ◇ 地域活動において・・・ シニア読み聞かせボランティア組織に属しております。保育所・幼稚園・小中高校、児童館、図書館、高齢者施設等で読み聞かせます。
 コロナ下でこの活動は中止となり、シニアが集まる、読み聞かせの練習も叶わなくなりました。シニアのほうが若年層より新型コロナウィルスに感染しやすいという傾向もあり、活動者の健康の維持も組織の課題となっています。
 読み聞かせを行っておられる保護者や支援者の方、読み聞かせをする地域の方を受け入れてくださっている保育所・幼稚園等の方もおられると思います。
 私の組織では、どのようにこの問題に向き合っていくかを考えるため、組織の会員の交流も維持するために、慣れないシニアも学習を重ね、オンラインでの会議を重ねてきました。
 現状についてのアンケートを実施し集計・分析して発信をしたり、今後の見通しや活動再開への留意点をまとめて、400人近い会員に発信をしてきました。各地域での活動を聞くなかで、15年読み聞かせに通っている保育所に、手作りマスクを100枚贈呈して喜ばれたという報告も受けました。オンラインで読み聞かせの練習をして、鈍らないようにしているという活発さも伺われるなか、コロナ感染の危惧から休会するという声もあります。

 ◇ 地域での活動再開にあたり・・・ 活動再開の指針を策定するにあたり、連携機関である、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所「社会参加と地域保健研究チーム」のまとめた、「通いの場×新型コロナウイルス対策ガイド 感染症対策を含めたウィズ新型コロナウイルス時代の通いの場の実践のためのポイント」を参照しました。
 子育て広場や読み聞かせサロン等をなさっている方には参考になると思います。
https://www2.tmig.or.jp/spch/data/point20200622.pdf

 ◇ 瑣 談・・・ リモートワーク・在宅期間中、大学生である子どもの三食の食事づくり、犬の世話、家事と休む間なく過ごしました。そのように、過ごされた/過ごしておられる方も多いかと思います。情報番組を見ますと、留意事項が多すぎ、美容院のトイレでは、トイレットペーパーを三角に折らないようと注意書きがあり(接触予防でしょう)、化粧品売り場ではテスターに触らぬよう、接客も立って行うとあり、疲れてしまいます。
 在外の友人は、在宅で配偶者がストレスがたまると言われた、子どもからもいつまでおうちにいるの?と言われた、子どもには勉強を教えているし、買い物もしている、なぜ?そんなことを言われるのか? と問うてきました。その男性は年の半分は海外出張という生活から一転のフル在宅、むべなるかなと思います。ですので、家族で散歩する際、父親が子ども2人を連れ、母親は一人で散歩を楽しむ。家族は早く寝て、お母さんが夜に愉しむ時間をつくっているそうです。
 新型コロナウィイルスは、家族の過ごし方を考える時間、話をする時間を創出しているとも思います。