企画・シンポジウム等案内

基調講演(11/19 13:15~14:45 対面・ライブ配信)〈一般公開にて動画配信

子どもの育ちの昔と今

講演者 山田謙一(早川小児科クリニック副院長・一般社団法人新潟子どもの心身発達支援会議 代表理事)

司 会  齊藤勇紀(新潟青陵大学)

<講演要旨>

 現代医学の進歩により、昔は救命困難だった多くの小児疾患が治療可能となってきました。身体の育ちの今を支える朗報です。一方で、こころの育ちをとりまく状況も、あらゆる面が驚きの速さで変化し、今や圧倒され始めているようにも見えます。人間の育ちは、昔も今も変わらないもの(普遍性)と個別な違い(多様性)との組み合わせで支えられますが、今の子どもの育ちは、普遍性と多様性をバランスよく享受できているでしょうか。

 本講演では、演者が診療や研究を通して学んできている、脳と行動からみた育ちの普遍的な原則をご紹介します。それらを参考に、改めて見直したい育ちを支える基盤的要因、各職種の多様な経験を皆で支える普遍的な仕組み探し、そしてそれを過去から現在そして未来の世代まで繋げていく工夫などについて、皆様と一緒に考えてみたいと存じます。

<講演者紹介>

【講師略歴】
1993年-1998年 新潟県内外の各病院で勤務 小児科医院または医長
1999年-2001年 国立精神・神経研究センター武蔵病院 小児神経科レジデント
2006年-2012年 新潟大学 脳研究所 助教
2009年-2019年 国立成育医療研究センター こころの診療部 臨床研究員
2012年-2020年 新潟大学 脳研究所 准教授
2020年-現在 早川小児科クリニック 副院長
2022年-現在 一般社団法人新潟子どもの心身発達支援会議 代表理事
・療育相談事業相談医、就学委員会委員、等(新潟県、新潟市)
・神経学的音楽療法研修修了者(NMT-Allied Professional)
・日本ガーデンセラピーコーディネータ1級

【著書】
(主要論文)
Yamada K, et al. Differential volume reductions in the subcortical, limbic, and brainstem structures associated with behavior in Prader–Willi syndrome. Scientific Reports 2022. Mar 23;12(1):4978. doi: 10.1038/s41598-022-08898-3.
Yamada K, et al. Developmental abnormalities of the brain exposed to childhood maltreatment detected by diffusion tensor imaging. Neurological Research 2019; 41(1): 19-25. doi.org/10.1080/01616412.2018.1522413.
Yamada K, et al. Brain developmental abnormalities in Prader-Willi syndrome detected by diffusion tensor imaging. Pediatrics 2006; 118(2): e442-448.
山田謙一. 先天性症候群にみられる行動発達特性の脳神経基盤: プラダー・ウィリ症候群を中心に. コミュニケーション障害学 39(1) :18-23 2022.
山田謙一.小児期発達障害を理解するために(特集 発達障害と神経眼科).神経眼科 2016. 33:218-221.
山田謙一、他.小児神経疾患における在宅人工呼吸療法の家族から見た評価とニーズ.脳と発達 2003. 78(2):303-309.

(書籍)
齊藤勇紀・守巧(編著)・山田謙一(医療監修・著書).子どもが育つための障害児保育-障害児についての深い学びから子どもの支援に生かす.萌文書林:2022.
Yamada K. The Brain in Prader-Willi syndrome. In: Patel V, Preedy V (eds). Eating Disorders. 2022. Springer, Cham. doi.org/10.1007/978-3-030-67929-3_75-1.
Yamada K. Research Topic Editor: “Brain, nutrients, and behavior in orthostatic intolerance”, co-edited by Yuki Saito, Noriko Kanauchi. Frontiers in Human Neuroscience 2023.


大会準備委員会・地域子育て支援部門合同企画シンポジウム(11/19 10:00~12:00 対面・ライブ配信)

未来への架け橋:子どもと共に取り組むSDGs

企画者 伊能恵子(昭島ナオミ保育園)
    加賀谷崇文(秋草学園短期大学)
    齊藤勇紀(新潟青陵大学)
司 会 
伊能恵子(昭島ナオミ保育園)

<企画内容>

 【講 義】「初歩からのSDGs」
  講 師 石本貴之(特定非営利活動法人まぢラボ 代表理事・新潟青陵大学 非常勤講師)

 【実践報告】
  話題提供者 「子ども達と学ぼう!SDGs」藤田智子(昭島ナオミ保育園)
  話題提供者 「地域子育て支援におけるSDGs」浦田理想(昭島ナオミ保育園)
  話題提供者 「環境整備から考える持続可能な教育」福岡龍太(新潟青陵大学短期大学部)

 【ワークショップ】「2030 SDGs」
 ※ワークショップは、参加型の形態を採ります。対面ご参加の方はワークショップに参加できます。ライブ通信の方は、対面会場のワークショップの様子をライブ通信でご覧ください。
  ファシリテーター 
大嶽貴恵、石本貴之、風かおる、中西由希子、小針丈幸

<企画趣旨>

 人の営みにより、人が住めない環境になることへの警鐘が鳴らされるようになって久しい。ところが、そのような環境にしてきてしまった大人側が、持続可能な環境への配慮について理解していない現実もある。また、人は体験から学ぶ動物であることから、体験していないことを実践することは難しいという事実もある。
 これらをふまえると、未来のために何か今取り組むべきことがあり、それを知ることで、未来への一歩を踏み出すことができると考える。こうした現在の取り組みが未来における持続可能な社会の実現へとつながることと期待したい。そこで、未来を担う子ども達と持続可能な社会を築くためにSDGsを学び、環境への意識を高めたい。
 このシンポジウムでは、SDGsについて初歩から理論を学び、実践を知ること。そして、参加者一体型でワークショップを通して、参加者が子どもと共に取り組むSDGsを持ち帰ることを目的としている。ゆえに、当事者意識をもって、このシンポジウムを全参加者で進めていくことをねらいとして開催したい。


大会準備委員会企画シンポジウム(11/19 15:00~16:30 対面・ライブ配信)〈一般公開にて動画配信〉

課題解決の連携から共に育ち合う連携へ

企画者・司会者 藤瀬竜子(新潟青陵大学)・齊藤勇紀(新潟青陵大学)
話題提供者 
佐藤菜美(保護者)
話題提供者 
松山由美子(認定特定非営利活動法人 はっぴぃmama応援団)
話題提供者 
南雲未央(幼保連携型認定新通こども園)
話題提供者 
稲見康明(十日町市教育委員会学校教育課)
指定討論者 
加賀谷崇文(秋草学園短期大学)
指定討論者 
大熊美佳子(秋草学園短期大学)

<企画趣旨>

 2023年4月1日から施行されたこども基本法により、こどもに関する施策が総合的に推進される。創設されたこども家庭庁のこども家庭審議会では、「就学前のこどもの育ちに関する基本的な指針」の制定に向けた取り組みが報告されている。この指針は、こどもの心身の状況や環境に関わらず、こどもの誕生前から幼児期までを継続的に考慮し、健やかな成長を保障し、こどもを支える社会を築くための基本的なガイドラインである。
 このような包括的な支援体制の構築には、多機関多職種連携による切れ目のないネットワークの形成が求められる。しかしながら、わが国では、特に乳幼児期の連携促進に対する関係機関の統合的な実践検証は寡少である。
 そこで、日本子育て学会第15回大会の開催にあたり、新潟県内の支援者たちが集い、就学前の実践に関わる多機関多職種の情報共有プラットフォームチームを結成した。チームのメンバーは、新潟県内の課題として、妊娠前からの子どもの成長過程全体で支援が必要であること、子どもと子育てをする当事者の成長だけでなく、支援者も連携力・協働力を培う必要があることを報告した。
 このシンポジウムでは、地域の特性を考慮しながら、具体的かつ多面的に子どもの健やかな育ちを保障するための関係機関や専門職の連携促進の在り方について検討する。

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シンポジウム①(11/18 9:00~10:30 ライブ通信)

会員交流ラウンドテーブル

日本子育て学会にはどんな人が参加しているの?会員同士Zoomで顔合わせしてみませんか?

企   画 会員交流運営委員会
司   会 
勝浦範子(会員交流運営委員会委員長・イエローピンプロジェクト)

<企画趣旨>

 日本子育て学会にはどんな人が参加しているかご存じですか? 本学会の個人会員は300余名に過ぎないのですそれでも、知っている会員はひとにぎりに過ぎません。選挙の時にいつも悩みます。選挙台帳が配られますが、それを見ても、どういう人なのかよく分からない。研究者の方々は所属とか肩書で何となく分かる人が多いし、支援者の方々は保育・教育に携わっている方、教育や子育て関連の仕事をしている方、ボランティア関係の方など、これも何となく分かる。しかし、分かると言っても、立場が分かるくらいで、それ以上は分かりにくい。また、いわゆる所属を書くことが多いが、フリーランスや個人で活動している人の場合は分かりにくい。

 保護者会員となると、これはもっと分かりにくい。人によっては、お住まいの地域、〇〇県○○市としか書いていない。いろいろな地域からの代表がいた方がいいのかなと思うくらいです。
 本学会は保護者・支援者・研究者が三位一体で活動することを旨としていますが、それを推進するにはお互いに知り合い、交流する機会が足りないとの思いが、会員交流運営委員会を発足させる原動力になりました。

 まずは、自己紹介のフォーマットを作り、記入してくださった方々で、有志の会を作り、段々と広げていくことを考えました。まずは、知り合いに呼びかけ、記入してもらいました。しかしながら、記入が大変でなかなか協力者が増えず、頓挫しました。(フォーマットの作成、記入にご協力いただいた皆様、申し訳ありませんでした。)

 そこで、今回、第15回大会で、できるだけ多くの会員の方々に参加してだけるように、Zoom形式での会員交流ラウンドテーブルを企画しました。通しで参加できない方も歓迎です。そこで、簡単な自己紹介とか、活動履歴とか、子育て学会に期待することとか、不満とか、交流を進めるにはどうしたらよいのか等々、何でもよいので、お話してください。参加者の人数によって、お一人1分~3分お話いただきます。時間があれば、その中で出てきた中からテーマを絞って、意見交換もしたいと思います。

 


シンポジウム②(11/18 10:45~12:15 ライブ通信)

多文化・多言語環境における教育と言語

企   画 佐々木 由美子(足利短期大学)
司   会 石井 富美子(立正大学)
話題提供者 佐々木 由美子(足利短期大学)
話題提供者
 姜 潤華(東亜大学)
話題提供者 松山 寛(帝京科学大学)
指定討論者 伊藤 圭子(東京大学)
指定討論者 勝浦 範子(一般社団法人 イエローピンプロジェクト) 

<企画趣旨>

 本研究プロジェクトでは、これまで日本で暮らす外国にルーツをもつ子どもの保育・教育について調査研究をおこなってきた。その中で、日本で暮らす外国にルーツをもつ子どもの言語習得における課題と、そのことから派生する学習へのつまずき、自己肯定感等,社会情緒的スキルの育ちへの影響、進学や将来への不安等、さまざまな課題に直面したことから,外国にルーツをもつ子どもの保育・教育を視点とした研究会を重ねてきた。そこで多く議論されたことが多文化・多言語環境における子どもの言語習得の課題である。
 また、本プロジェクトでは、2022年の日本子育て学会大会における発表,「山口の朝鮮学校での絵本読み聞かせ・読み合い活動の意義」に参加したことを契機として、その筆頭発表者を研究会に招いて在日コリアンの子どもたちの教育、朝鮮学校の現状などを学ぶとともに、ニューカマーと呼ばれる子どもたちの教育のみではなく、オールドカマーと呼ばれる子どもたちの教育についても課題が多くあることを再確認した。
 近年、OECDのStarting Strong等において、あらゆる学習の基礎となる言語力の育成は、子どもの人格形成にも大きな影響を及ぼすことが明らかにされている。言語習得状況が自己肯定感や他者と関わる力・意欲などの社会情緒的スキルの育ちに影響を与えるということである。また、多文化・多言語環境で育つ子どもの言葉の育ちがアイデンティティや人格形成に影響することも、これまでの研究で明らかになっている。そこで、今回のシンポジウムでは、多文化・多言語環境における教育と言語について検討するとともに、言語習得や社会状況がアイデンティティの育ちに与える影響等について検討する。
 話題提供として,①日本で育つ日本語を母語としない子どもたちの教育の現状とかれらの社会情緒的スキルを育てるための提言、およびバイリンガル教育における母語の重要性について,②在日コリアン3世であり朝鮮学校の卒業生、現保護者、スクールカウンセラーでもある当事者の立場から、日本の朝鮮学校の実態、そこに通う子どもたちの現状と課題、国語(朝鮮語)および民族性を育てる科目等も含めた教育について,③スコットランドのゲール語継承教育の現状とその評価、社会的意義,および日本における朝鮮学校の朝鮮語継承教育との比較について,の3つのテーマを取り上げる。その中で,日本で育つ外国人児童の母語の維持伸張と日本語習得の両面に関する課題とともに,日本で育つ在日コリアンの子どもたちの朝鮮語継承語教育と,朝鮮学校の現在置かれている状況とその課題について考える。また,日本における朝鮮語継承語教育の課題とスコットランドにおけるゲール語継承語教育の課題との比較を行う。これらを通して,多文化・多言語環境における教育と言語について,議論を深めたい。

 


シンポジウム③(11/18 13:15~14:45 ライブ通信)

心理的支援・ICT・多文化から子育てを探求する

「子育てとケアの原理」を求めて

企   画 日本子育て学会研究プロジェクト推進委員会
企   画 日本子育て学会研究交流委員会 
司   会 望月雅和(東京大学先端科学技術研究センター/小田原短期大学)
話題提供者 山蔦圭輔(神奈川大学/合同会社メンタルヘルスケア・ネットワーク/
         (一社)法人臨床心理職能開発機構南浦和つながりクリニック)
話題提供者 高橋麻衣子(東京大学先端科学技術研究センター)
話題提供者 佐々木由美子(足利短期大学)
指定討論者 西村美東士(若者文化研究所)

<企画趣旨>

 本シンポジウムは、子育ての体系化を進めてきた日本子育て学会研究プロジェクト推進委員会、内外の研究交流を推進してきた研究交流委員会が共同で例年、企画をしているものであり、本年も子育ての体系化やケア等の研究成果を踏まえて展開的に開催される。

 特に本年は、本委員会の研究プロジェクトから、近年にますます重要度を増している多文化を中心とするもの、加えて心理的支援、ICT・情報技術について、各領域の第一線で活躍している研究者を招聘して開催をする。現代の様々な子育てのテーマを考えていく上で、国際性、心理的支援、情報技術は不可欠の領域であり、一層に重要度が高まっている。
 これらの話題提供を踏まえて、これまで行ってきた子育て研究の体系化を探求していく。

 例年のように本シンポジウムは、第一線の研究者を内外から招聘する貴重な機会となる予定であり、一度に幅広い研究交流的な知見が得られる機会として、広く参加を願っている。

【参考文献】
望月雅和編著・西村美東士・金高茂昭・安部芳絵・吉田直哉・秋山展子・森脇健介・鈴木淳子共著『子育てとケアの原理(新版)』北樹出版, 2022.

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