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第12回大会準備委員会委員長挨拶

大会テーマ
「地域にひらかれた子育て~人をつなぎ、世代をつむぐ、そして地域と地域をむすぶ~」

 2020年度「日本子育て学会第12回大会」は、“地域にひらかれた子育て~人をつなぎ、世代をつむぐ、そして地域と地域をむすぶ~”という大会テーマを掲げ、開催されます。

 2019年11月に最初の症例が中華人民共和国湖北省武漢市で確認されて以降、新型コロナウィルス感染症による急性呼吸疾患の世界的な流行は、私たちの日常生活を大きく変えてしまいました。学校等に関して言えば、2020年度の新学期から学生に自宅待機を求めオンライン授業を実施する高等教育機関をはじめとして、小・中・高等学校や特別支援学校に通う児童・生徒の多くも継続して登校することがかなわない状況が長く続いております。このあいさつ文を書いております現在、関西圏に引き続き、関東圏においても緊急事態宣言が解除されましたが、今後予想される再流行に備えた新しい生活様式や対策・取り組みなどが強く求められてもいます。

 こうした状況にあって、今年度中に本大会(第12回大会)を開催するべきなのかどうか、開催するとすればどのような方策が考えられるかなどに関して、理事会のみなさま、準備委員会のみなさまには、電子メールを通して真摯な議論をいただきました。都道府県をまたがる長距離移動を伴い、多人数が1箇所に集合する例年の集会方式による大会実施は避けるべきであるものの、今年度の大会を中止する(1年延期する)ことによって、これまで連綿と続いてきた大会に空白を作り学会員の活動・研究成果発表の機会を狭めてしまうことは、学会として賢明な決断ではないとのご意見を受けました。結果として、「自粛しながらも“できること”をする」という決意のもと、第12回大会をいわゆる「オンライン方式」によって実施することとなりました。

 大会運営に関して、現時点では大まかな方向性が決まっているのみであり、詳細な点にまで踏み込んだ計画はできておりませんが、例年とは異なる・通常とは異なる大会となる―例えば、ポスター発表について考えますと、これまでのようにポスターをどこかに貼るという作業はなくなると予測できます―ことは必定です。第12回大会に向けて、今後、これまでの対面・集合方式で実施されてきた大会と同じような質の高い内容を維持できるよう諸々のプログラムを計画していく所存ですが、学会員のみなさまや大会に参加されるみなさまにも、今後の大会準備委員会等からの発信にご着目いただき、多方面からご協力いただきたくお願い申し上げます。

 さて、今回の大会テーマに関して説明申し上げます。子どもを産み育てるという営みが、私たちの社会を着実に支え・持続させてくれます。子育てを通して、私たちは“横”にもつながれますし“縦”にもつながることができます。一方で、こうした“つながり”が自然に生成されることが少なくなり、意図的に促されるようになってきています。こうした「つながりづくり」を目指した取り組みは、地域における子育て支援の一つです。そして、その方法は地域(行政)によって様々です。昨年の第11回大会における大会企画シンポジウム「地域にひらかれた子育て~人をつなぎ、世代をつむぐ~」に参加しましたが、そこで、調布市という地域内での「縦」のつながりと「横」のつながりの実相と工夫とを学びました。実相に応じてなされる工夫は、支援に不可欠な「知恵」だと言えます。そこで、この第12回大会を「地域(行政)ごとの知恵を交流し合い・互いを高め合う場」にしたいと考え、第11回大会の副題に「そして地域と地域をむすぶ」を追加した次第です。また、大会企画シンポジウムでは、地域子育て支援拠点事業(子育てひろば、子育て支援センターなど呼び名は様々です)に焦点を当てて、複数地域の特徴的な「知恵」の紹介・交流を図ってみたいと考えております。

 最後になりましたが、研究者のみなさま、子育ての当事者者である保護者のみなさま、現場でご活躍されている子育て支援者のみなさまの積極的な大会ご参加を心より期待申し上げます。


大会準備委員会委員長 伊藤 篤(甲南女子大学)