発達支援の親子教室「クローバー」からの報告 2021年10月

COVID-19パンデミックの影響下でも、つながり続ける

茨城キリスト教大学 中島美那子


 私は保育者を養成する学科で教員をしています。また、勤務する大学の「カウンセリング子育て支援センター」の事業に参画したり、地域の子育て支援事業に携わったりもしています。

 その中でも今回、感染拡大の状況下での昨年度の取り組みとしてお話ししたいのは、勤務校で実施している親子教室「クローバー」についてです。

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発達支援の親子教室「クローバー」

1)「クローバー」とは

 私が勤務する教育機関で行っている2歳から4歳くらいまでの発達の気になる子どもさんとその保護者の親子教室です。定員は8組とし、例年10月から3月までの半年間で計14回、1回約90分実施しています。会は、療育を意識したプレイグループ(子どもグループ)と「前向き子育てプログラムトリプルP」や心理教育などを取り入れた保護者グループとに分かれて行います。プレイグループのスタッフは、大学教員・保育士・学生で、保護者グループスタッフは大学教員です。私ともう一人の教員が、保護者グループとプレイグループを行ったり来たりして全体を把握します。

2)COVID-19パンデミックの中での「クローバー」

 さて、3年目であった2020年度の「クローバー」は、三密を避け、学生たちの健康管理も徹底し、1回から8回までは何とか対面での実施をしてきました。しかし、茨城県独自の緊急事態宣言が1月に発令され、それ以降はしばらくオンラインでの開催へと舵を切りました。オンラインの限界もあり、対面で行うものと同等の質は保てなかったかも知れませんが、それでも次のような流れ・テーマで9回から13回までの5回分をオンラインにて実施しました。
 ・1回の流れ: 保護者の近況報告→アイスブレイク→テーマに基づくディスカッション→子どもと学生によるリトミックや読み聞かせの時間→保護者からの一人一言
 ・テーマ: 「発達の凸凹とは」、「子どもの育ちをどう見るか」、「就園先をどう選ぶ」、「先輩ママと話そう」

3)オンラインでの実施による効果は?

 効果と言って良いのかはこれからのさらなる検証が必要ですが、現段階で言えそうなことが3つほどあります。 まず1つ目に、同様の悩みや思いをもつ保護者同士がつながり続けたことで、時に本音で語り、共感し、関係を深められたことが挙げられます。そして2つ目として、画面越しに、プレイグループでは見せない家庭での子どもの姿を垣間見ることができたことで、私たちスタッフの子ども理解が深まったことです。3つ目としては、学生たちが保護者が本音で語る場に同席し、それぞれが抱える苦悩や努力を知ったことで、「心から保護者を敬うことができた。保育者になった際は、本気で保護者支援に力を入れようと思った」と発言していたことが挙げられます。

 幸運にも最終回(14回目)の「クローバー」は対面で実施できましたが、久しぶりの子どもたちは戸惑うことなく、まるで連続で参加していたかのような落ち着いた取り組みぶりでした。自宅にこもっていたにもかかわらずこのように落ち着いていたのは、保護者の日々のかかわりが適切だったからなのかも知れず、そこには少なからずオンラインでつながり続けた影響があったのではないかと感じています。


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さて、今年度。4年目となる「クローバー」はすでに10月より始まっています。今のところ対面で行い、昨年度よりも少し平均年齢の低い5組の親子をお迎えしています。今年度も子ども達が楽しく参加することができ、保護者同士が繋がり合えるような場であるよう、スタッフと学生とで全力で取り組んでいます。